道具の手触りや暮らしの思索を重ねながら、革しごとやガジェットに向き合う日々の試行錯誤の記録

デジタル手仕事 14|文章の癖を、AIにどう伝えておくか

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デジタル手仕事 14|文章の癖を、AIにどう伝えておくか
目次 ▼
嫁ちゃん 嫁ちゃん
AIに「私らしく書いて」って頼んだら、ちゃんと分かるもんなん?
わたし わたし
それだけやと曖昧やから、これまでの記事を読んで、どんな書き方をしてるか言葉にしてみてん。
嫁ちゃん 嫁ちゃん
自分の文章の癖って、自分で見つけるの難しそうやな。
わたし わたし
せやねん。だから一度で決めつけんと、記事を直すたびに見直すことにした。

「私らしく直して」を、もう少し具体的に
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AIに記事を直してもらうとき、「私らしく書いて」とだけ伝えても、何を残してほしいのかは曖昧だ。読みやすく整った文章になっても、どこかで読んだような言い回しが増えたり、書いたときの迷いや手触りが薄くなったりすることがある。AIに任せる範囲を考えるには、まず自分がどんな書き方を大事にしているのかを、具体的な言葉にしておく必要がある。

そこで、過去に書いた記事を読み返した。2024年から2026年の記事の中から、カメラや道具のレビュー、暮らしの記録、革しごと、デジタル手仕事など、題材の違う14本を選んだ。記事選びで迷いはなかった。書いて残したものは、あとから失敗だったと分かることがあっても、これからの糧になる。それなら、うまくいった記事だけを選ぶより、これまで書いたものを材料にしたいと思っている。

ひとつの題材だけを読んでいると、その分野で説明に必要な書き方と、自分に共通する書き方が混ざるかもしれない。カメラの話と革しごとの話では、扱う道具も説明する内容も違う。それでも、いくつかの記事を並べて読むと、話題が変わっても繰り返し現れる書き方が見つかる。言葉遣いだけを見るのではなく、経験をどんな順番で伝えているか、どのくらい具体的な出来事を書くか、結論をどこまで言い切るかを見ていった。

経験から始めて、手触りを残す
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机に広げた原稿を読み返し、鉛筆でメモを書き添える

14本を読んで見えてきたのは、一般論から始めるより、使い始めたきっかけや、うまくいかなかった場面から書き始めることだった。作業で何をしたか、どれくらい待ったかといった具体的な出来事を先に置き、その後で道具や仕組みの説明へ進む。読者が状況を思い浮かべてから説明を読めるので、技術の話も自分の経験につながったものとして伝わりやすい。

便利だった、で話を終わらせず、迷いや不便も残す。技術の説明には、革の道具や作業台のように自分がよく知っているものを例に使うことがある。ただし、たとえ話を重ねて本題が見えにくくならないようにし、実際に経験した範囲を越えて大きな結論を出さない。自分が確かめていないことは、確かめていないものとして書く。この線を守ることも、自分の文章を保つうえで大切だ。

文章の調子は、短い文と説明の段落を組み合わせる。短い一文で気持ちや印象を置いてから、その理由や経緯を具体的に説明する。見出しも「機能の説明」のような分類だけでなく、その節で起きたことや変化が伝わる形にする。結びは強い断定や読者への勧めで閉じるのではなく、自分がどう感じたかを振り返り、読む人が自分の経験に重ねられる余地を残す。

「自然に」「親しみやすく」といった言葉だけで、こうした特徴をAIに伝えるのは難しい。そこで、雰囲気の注文を、実際の書き方に置き換える。たとえば「自分の経験から始める」は、使い始めた理由や困った場面を先に置くこと。「具体的に書く」は、便利だったという評価だけでなく、何をしてどうなったかを添えること。抽象的な形容詞を動作や順番に言い換えると、AIがどこをどう直せばいいか分かりやすくなる。

AIに渡すのは、毎回使う書き方のメモ
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Markdownのメモ画面とノートを見比べる作業机

ここで作ったものは、AIのモデルを再学習させる仕組みではない。AIの中身を書き換えて、私の文章を覚えさせるわけでもない。記事を直してもらうときに、書き方のメモを「AIへの依頼文」に添えて、参考にしてもらう方法だ。記事では、読み手が意味をつかみやすい言葉を選びたい。記事の下にある壁打ち欄も一緒に読んでもらい、その記事で伝えたいことや、変えてはいけない事実を確かめてもらう。

共通して使う書き方のメモには、いくつかの記事から見えてきた特徴を置く。一方で、その記事だけの注文や追加したい事実は、記事の壁打ち欄に書く。共通の書き方と、その回だけの指示を分けておけば、別の記事のために頼んだことが、次の記事にまでそのまま持ち越されにくい。記事ごとに条件を確認する手間はあるけれど、読者に向けた内容や実際の経験を、ひとまとめの決まりに押し込まなくて済む。

私は、AIを使って調べたことや作業の記録を、基本的にMarkdown形式のファイルへ残している。以前はObsidianを使っていたが、「これもAIを使えば自分で作れるかもしれない」と思ったことが、自分専用の統合環境を作り始めたきっかけだった。まだ改修を続けていて、いつ完成するのだろうと思うこともある。それでも、作業から得た気づきや知見を残し、記事の下書きにも活かせる仕組みを少しずつ作っている。

同じ資料を何度もクラウドAIへ送る量を抑えられるよう、記録の整理や記事の準備にはローカルで動く仕組みも使っている。これで、クラウドAIへ渡す文章量や利用量を減らす助けになると考えている。依頼した作業の結果を確かめるだけでなく、ローカル画像生成でどんな絵ができるのか待つ時間も、楽しみのひとつだ。

私は、分からない横文字を使って、理解しているように見せることに抵抗がある。言葉を知っているふりをするために専門用語を並べると、かえって内容を誤魔化しているように感じるからだ。専門用語が必要なときは、その意味を自分で確かめて、読者にも分かる言葉で説明したい。AIが文を整えるときも、横文字を増やして格好よく見せるより、内容が正確に伝わる言い方を選んでほしい。

エンジニアを長く続けてきたので、専門用語が飛び交う現場にいた。用語ひとつで意味が通じるのは便利だし、専門語を使うこと自体が悪いとは思っていない。それでも、自分が意味を十分に分かっていない言葉を口にしていると、どこか落ち着かない。私自身、そうした言葉を使ってきたからこそ、あとから振り返って反省のような気持ちが生まれているのかもしれない。

修正を見比べて、繰り返しを減らす
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AIの修正と自分が仕上げた文章を比べるときは、違いを「書き方の好み」「事実の訂正」「誤字や表記」「今回だけの注文」に分ける。AIが間違った内容を出したので直したのなら、文体ではなく事実の修正だ。一度だけ誤字を直した場合も、書き方の特徴に加える必要はない。反対に、何度も「先に自分の体験を置きたい」と直しているなら、次の依頼でも役立つ書き方のメモとして残せるかもしれない。

私には、会話の中で同じことを二度言ってしまうことがある。自分でも分かっているのに、同じ説明を繰り返すことがあると感じている。記事でも、似た内容を別の段落で重ねていないか、AIに見てもらうのは助けになる。

私はAIを賢いと思っているし、自分より優れているところも多いと感じている。書き方の意向や事実を伝えておけば、重複の整理などはある程度任せるのが、これからの使い方なのかもしれない。全部を任せてもよいと思う一方で、そうすると、自分が内容についていけなくなる心配もある。だから、AIに作業を頼みながら、返ってきた文章を全文読み、経験とかけ離れていないか、読んで意味の分からない話になっていないかを確かめたい。AIがこちらの気づいていなかった点を教えてくれることもある。その確認は、間違い探しだけでなく、自分が学ぶ時間にもなっている。

こうした書き方のメモは、完成した決まりではない。記事の種類や伝えたい内容によって、いつも同じ形が合うとは限らない。レビュー、暮らしの記録、手順の説明では、読み手に必要な情報も違う。だから、共通の特徴を機械的に当てはめるのではなく、今回の記事の事実や壁打ち欄を確認したうえで、どの特徴を使うかを考える。一度直しただけの言葉を、すぐ自分の癖と決めつけないことも大事だと思う。

AIに書いてもらい、内容を確かめてから決める
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記事は自分が書くものだと思っている。ただ、もしライターさんに頼むのであれば、その相手がAIでもいいのではないかとも考えている。大切なのは、受け取った文章をそのまま載せることではない。内容を確認し、自分の経験と違うところがないかを見て、掲載するかどうかを自分で決めることだ。文章を作る人がAIでも、依頼する内容を考え、できあがったものを確かめ、公開を決めるのは自分である。

こうして、頼んだことが実行され、その内容を確かめる。この一連の作業も、これからのAIの使い方として間違っていないと思う。AIに文章の整理や重複の確認を頼み、返ってきたものを自分で読む。事実や自分の考えが違っていれば直し、読者に伝えたい形になったかを判断する。すべてを自分だけで書くことと、記事の責任を持つことは、同じではないのかもしれない。

嫁ちゃん 嫁ちゃん
AIが文章を書いても、最後に読んで、載せるか決めるのは自分なんやな。
わたし わたし
そうやねん。頼んだ内容が反映されたか、事実が違っていないかを確かめてから、自分の記事として仕上げたい。
そらちゃん そらちゃん
読んで確かめてくれる人がいるなら、文章も安心してお出かけできるね。

AIに文章を任せたら、書く人の仕事がなくなるというより、頼む内容を考え、返ってきたものを確かめる仕事が加わるのかもしれない。少なくとも今の私は、AIが直した文章を読み、自分の言葉に合わないところをもう一度直す。その確かめる時間まで含めて、文章を作る手仕事として続けていきたい。


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